NPO(特定非営利活動)法人 ワークショップ「いふ」
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  陶器開発報告
 
1)はじめに 2)食器に関するニーズ調査結果 3)窯元の商品開発 4)モニター会リポート
■お年寄りの声から
○食器が楽しいと、食事も楽しくなるよね
○料理が同じでも器がいいと美味しそうにみえる
○重いと抱えるのに難儀するよ
○軽すぎると手が落ち着かん
○落として割れると不経済
○自分で後始末しないから分らんけど、重ねられないと場所をとる
○洗いにくいのはいかん
○何枚も洗うのは大変だから、一枚に料理をのせられるのはいい
○あまり沢山は食べないから大きいのはいらない
○小さすぎるのも、何度もつがなければいけないので面倒
○一度コタツに入ったら立つのが面倒だから、そのまま蓋ができて机の上に置けるのは便利
○お盆に乗せて運ぶ時、滑りやすいのは困る
○すわりのいいのが良い
○背が高くないほうがいい(洗う時底がきれいにならない。安定感がある)
○白い色の皿が料理が引き立つ
○色の濃い皿の方がいい
○抱えにくい(つかみにくい)

■バイヤーの視線から
UD陶器として開発した商品の販売の実現に向けてどのような課題が考えられるか、福祉機器用品を扱うアメックス熊本(株)の社長中川義明氏に、モニター会に出席して、完成食器を見ていただいた後、意見をいただきました。
(1)販路の確立
  商品があり、ユーザーがそれを欲しいと思った場合、どうしたら手に入るのか、買えるのかが分らない。作家間の連携だけでなく、売り方や価格が買い手側に明確に分るような販路、ルートづくりが必要と思われる。更に陶器は磁器と比べて、大量生産に向かないと思われるが、販売先と全国展開を想定するのか、まずは県内への波及を考えるのか等によって販売方法、PRの仕方も違ってくるのではないか・  
(2)UD商品の難しさ  
  UD商品の利用者は1人1人身体の状況が違い、商品ひとつの特徴が、使う人によって長所にもなり短所にもなる。その商品の特徴や使い方をPR、説明し、ユーザーに理解をしてもらうことは、販売促進のために不可欠と思われる。できればそのための予算を確保しPRの手法やツールを工夫したい。
 
(3)ターゲットを絞る
  今回は高齢者を対象としたものだったが、購買層として、除々に身体機能の低下が気になり始めているが現段階では介護を必要としていない高齢者をターゲットとして絞りこむのも1つの方法ではないか。その年代は食べることが楽しみであり、器に関心が高いと思われる。
 

■スタッフの感想から

「作り手」と「使い手」が同じテーブルに着き・・・

 今回のモニター会はお互いの「生」の意見を出し合える機会になったことが、非常に意義深いものだったと言えます。
 窯元のUDに対する熱意、工夫が感じられ、オリジナルな食器ができ、高齢者の方達が「欲しいな」と楽しんでいらっしゃるのが印象的でした。意見の中には軽い食器より、少し重くても良いという意見もありました。
 また、食器は料理をよそってはじめて、器の持つ色、デザインが生きてきます。今回は食材を器によそって、実際の食事の場面を演出しました。沢山食べる方、小食の方とそれぞれにあった器を選べるような品揃えの広がりを求められるUD陶器の開発にあたっては、デザインや色の重要性とともに、「使いやすさや洗いやすさ」も重要な事が分りました。高齢者の場合は、身体状況や介護環境がひとりひとり異なるだけに、顧客の多様性に的確に対応した選択性の拡大が重要です。
 
UD陶器は「購入」されなければ「商品化」は困難で、そのための工夫が次に求められる事になります。今回の調査で「今すぐにでも購入したい」という声もありました。そうした陶器に共通した特徴は「手に負担がかからない」というキーワードと「楽しさ」でした。
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